William Tottle Mouthpiece

TOTTLE RL カスタム 2ピース bach3相当 細管用


























William Tottle Trombone Mouthpiece RL






William Tottle Mouthpiece



不思議なマウスピースを入手しました。ビル・トトル (William Tottle) というメーカのカスタム品らしい。もちろん中古です。ネットで調べたが、サイズなどの基本情報が全く見当たらない。フォーラムにはリンクがあったが、すでに削除されたらしく何も表示されない。

**** TOTTLE RL カスタム bach3相当 スモールシャンク ***********
**** TOTTLEのカスタムモデル、リム内径、カップ深さはバック3相当です。**

という諸元を元に購入したわけだが、手元に届いてみると口径は確かに Bach 3 に近かった。しかし、深さはかなり浅い。Cup は、写真ではCに見えるが、完全なV-Cupである。Rim の内側からいきなり斜めにスロートへ入り込む形でこれまでに見たことのない形状だ。 Depth は、Bach 61/2AL より浅くみえる。スロートはおよそ 7.05mm  (0.2775inch)と思われ、バックボアは、スロートから広がり、途中でさらにもう一度広がるという2段タイプだ。どこかで見たタイプだが、どこのメーカのものだったか失念した。外形は Bach などと比べると全体にとても小振りでシャンクも短い。

William Tottle について少し調べてみたが、ほとんど情報が見当たらず、Osman Music (https://blog.osman.com/about) に少し情報があった。これによると、ビルの店はコンサバトリーから聖ボトルフのもう一方の端、ミュージシャンのユニオンビルにあったらしい。マウスピースはメッキも工房内でやっていたようなので、色々問題もあったかもしれない。他の情報によるとトランペットのCとBbの切り替え用チューニング管などもカスタムしていたか。何せ情報が少ないのでなんともはや。

Red Rodney の写真があったので、彼もお客だったか。Bird というクリント・イーストウッド監督の映画でも Charly Parker (A.Sax)と一緒にユダヤ結婚式やアルビノ・レッドとか珍妙な名前をもらって南部どさ回りツアーなどに行くラッパ吹きとして出ていたので覚えていた。

他にも有名なトランペット奏者でソリストの Armando Ghitalla も長年 TOTTLE のマウスピースを愛用していたらしい。


As for mouthpieces, I’ve played Tottles for years.  Old Bill Tottle in Boston was like a father to me and was always there when I needed him. He was a great, great artisan. On one occasion he was opening up a backbore little by little while I tested the mouthpiece. At one point the resolute was remarkably better and I excitedly asked him how much he had reamed out. With a twinkled in his eye his response was, “Oh, about two lungs worth.” My tendency has been to play V cups - probably because of my early years playing a cornet.

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マウスピースに関しては、長年トットルを使ってきた。 ボストンのビル・トトルさんは僕にとって父親のような存在で、必要なときにはいつもそばにいてくれた。彼は偉大な職人だった。ある時、私がマウスピースをテストしている間、彼はバックボアを少しずつ開けていた。ある時、レゾルートが驚くほど良くなったので、私は興奮して彼にどのくらいリームアウトしたのか尋ねた。彼は目を輝かせながら、"ああ、肺2つ分くらいだよ "と答えた。私の傾向として、Vカップを吹くことが多いのですが、おそらく幼少期にコルネットを吹いていたせいでしょう。

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V-Cups とはいっても、どんな仕様のマウスピースだったかは定かでないので、何とも言いがたい。


さて、使った感想の前に少しですが・・・

現在私は、Giardinelli 3M + Marcinkiewicz Model 500 という組み合わせで、 Mouthpiece は Giardinelli 2G, Marcinkiewicz 9Bなども使っている。2G細管はご愛嬌ですが、これには訳があって、子供の頃 Bach 45B 太管(新品)を購入した際一緒に買ったものが2Gでした。今やビンテージものですが、これがあまりによかったので、細管でも2Gをと入手してみたがいかんせん深すぎて細管の楽器には馴染まない・・・太管の楽器みたいな音がする。(クラシックを細管でやる場合にはいいのかもしれない)

そこで3Mと2Gの間のものがないか探していた。

スロートは太い方がハイトーンを出しやすく、音が痩せてこないので本当は好きだ。カップはV傾向の方がスピード感がありこれも好みです。ただし、Marcinkiewicz 9B (ほぼホルンのマウスピースに近いカップ形状)では音が明るすぎたので、V-Cup もここいら辺りが限界かと思う。ということで、C+V-Cup という形状がとても好きだ。(C-Cup は暗っぽい音が出ます)

この形状で有名なのは NY-Bach 6 1/2 AL ですが、子供の頃最初に買ったマウスピースが Bach 6 1/2 AL Early Elkhert だった。以後近年になってドット付きなどいくつか買ってみたがどれも感心しない。そして最近たまたまヤフオクでNYを入手したのですが、 Early Elkhert がNYと同じというのは誰が言い出したんでしょうね。いわく全く別物でした。

そうです全く別物、質の悪いウワサでしょう。工場移転の際、中には完成したものも混じっていてそれを Early Elkhert として出荷したとすれば、ウワサも一部は本当ともいえる。ただし売りやすくするため Bach が店をたたむ時、旋盤関連を Selmer の工場ではなく近隣の工場だったかに運んだのは確かで、それで作っていたので、NYと同じなんだと真しやかに伝説を作ったのかもしれない。全く同じ作り方で同じ品質管理をされていたとはとても思えませんので、単に製造装置類が同じというだけのことと考えた方がいい。

例えば Williams の工具を買った Marcinkiewicz が Williams と同じものを作っていないのと同じ理屈ですよね。作り手が変わり品質管理が変われば同じものはできないし、狙いが違えば違うものが出来上がります。

それはさておき、この NY-Bach 6 1/2 AL は、元々 Ernest Clarke( Claude Gordon の師匠でもある Herbert L. Clarke の弟)が Bach にカスタムで作らせた Clarke L, M, S モデルをBach が Mt.Vernon 工場に移転した時に6 1/2 AL, AM, A というモデルとして生産したことに由来します。どうして名前がなくなったんでしょうね。 Conn にも同モデル(?)らしきものが存在するらしいので、ひょっとしてライセンス上名前が使えなくなったとか・・・詳しい理由が知りたいところです。





ついでにもう少し能書きを・・・

NY-Bach 6 1/2 AL の Cup 形状は、見事な C+V-Cup です。30年代の Bronx NY-Bach 12C は、C-Cup で、同じく Bronx NY-Bach 12 は、U+C-Cup です。これはペダルトーンが出しづらいというか出ない。これで鍛えれば大概のマウスピースでは怯まなくなるだろう。小さいので私には無理だった。他に Bach 7C Megatone などは、30年代の Bronx NY-Bach 12C にホントにそっくりな作りの C-Cup でとても好感の持てるマウスピースですが、やはり私には小さい。ただ浅いカップの方がペダルトーンは出しやすいです。

あと私は1918〜20年頃(Bach Bronx 2番目のお店と思われる)のマウスピースを持っているが、残念ながらモデル名刻印が摩滅して判別できない。カタログ上から判断すると 12 しかないので、それだと思う。これは口径が小さくそして深く、スロートも細い。しかし明るい音でメチャクチャよく鳴ってくれる。ただ残念なことにシャンクは素人削りされて細なってしまっていて状態はとても悪い。ピーシューターとかいう6インチベルの極細トロンボーンで使われていたと思われる。

これはカップ内を眺めていると NY-Bach 6 1/2 AL を小さくした感じでとてもいい雰囲気。とても色っぽく、見ていて気持ちがいい。これも見事な C+V-Cup です。Clarke S, M, L モデルは、これを大きくして欲しいとカスタムさせた可能性を強く感じさせます。普通サンプルがなければカスタムはできませんから、あながち妄想でもないだろう。というか大きければ、今私も欲しいくらいだ。

C-Cup について若干補足すると、リムの内側からスロートと反対側へ食い込んで削っているものです。作業工数が増えるので、安物のマウスピースにはない形状です。Marcinkiewicz ET4 (Lloyd Ulyate model) なども NY-Bach 12C コピーというだけあってこれが再現されているところが嬉しいし、 Bach 7C Megatone も同じ形状である。ドット付きの Bach 12C についてもやはり同じ形状でした。

友人が ebay で入手した Carl Fontana が使っていたか、持っていたといわれるドット付きの Bach 12C を見せてもらったが、やはりこの形だった。しかし最近の12C のラージレターなどはドリルで穴を開けっ放しで、この部分が再現されていないのは残念だ。もはやC-Cup と呼ぶべきではない。浅い U-Cup だと思う。C-Cup タイプを入手するなら今は Bach 7C Megatone かMarcinkiewicz ET4 が現行品で入手しやすい。

ということで、 C+V-Cup というものはリムから一旦外側へ食い込む形で削りC状にした上で、スロートに向かって肩の部分をV状にするという意味です。NY-Bach 6 1/2 AL 以外の手持ちでは Giardinelli 2Gのマウスピースで70年代半ば以前がこれです。いわゆるミディアムレターです。他にも Giardinelli 3Mは、さらにこれを強烈にデフォルメし、浅くしているがとても音が出しやすい。

ただし、くせが強く万人向けではない。音には輪郭がなく荒削りなホワイトノイズっぽい感じがします。しかしハイトーンンにいくほど艶が出てきます。 Big Band などでは他を圧倒する鳴りで目立ちますが、ともすると協調性がないなどともいわれてしまいがちです。トランペットの上吹き用だとバンド全体で気持ちいいかも。トランペットの3Mは名器の誉れ高い製品でしたね。

                 これが70年代前半頃使われていた Giardinelli オリジナルパッケージです。



ケルンタイプとザクセンタイプ

昔ドイツでは V-Cup  U-Cup がありそれぞれケルンタイプ、ザクセンタイプと呼ばれていたそうだ。 大元のサックバットは半球型で底部にスロート穴があいているのが一般的で私のアルト・サックバットのマウスピースもこの形状です。これをそのまま深くするとザクセンタイプとなり、スロートに向け斜めに削るとケルンタイプになる。ホルンなどは板を丸めて作ったらしいので、必然的に V-Cup とならざるを得ない。

ともかく、それぞれ求められる音の傾向に明らかな差があったため、それぞれの形に発展したと言われる。しかし、製造技術が奏法に影響した可能性はないんでしょうかね。とか思いつつ



もうちょっと待ってね・・・奏法の違いによるマウスピース選びについて、経験から

アンブッシャーを教えてくれるマウスピースというものがあるという方がいる。そんな都合のいいマウスピースがあるなら是非欲しいものだと誰しもが思うところだ。

それはともあれ、いろいろな方がアンブッシャーの注意事項についていわれるところで、私が覚えているのは

* 口の形は「M」という発音をする時に似ている(えむ EMU という発音か?)
* 大きなマウスピースに上下の唇を押し込む(Claude Gordonだったか?)
* 上下の比率は、 Claude Gordon は1/2, 1/2 
  一般的には 2/3, 1/3 といわれる(Trombone Shorty は上1/3)
* 位置は正面中心でなくともいい(Bill Watrous は左 私は右)
* 口腔内の舌の位置(下の前歯の裏: Claude Gordon )
  (Bill Watrous や Carl Fontana は上の歯です)
* 喉を広げる

大体こんなところでしょうか、この辺りは今後徐々にやっていきましょう。


ということで表題の William Tottle Mouthpiece を一週間ほど試奏しました。というより馴染むのに時間がかかりました。これはこのマウスピースのツボがとてもタイトだからかもしれない。


一般的な話ですれば、マウスピースメーカは購入希望者を失望させない(売りたい)ためにどんな吹き方でも試奏の一瞬で鳴ったと判断させたいはずです。まさかと思うが、そういう工夫がしてあるのではなかろうかと余計な気をもむ。逆に言えばカスタム品は発注者の希望を細大漏らさず実現させ、発注者だけが鳴らせるようにしているに違いない。


刀に例えれば鞘は刀身にピッタリに合わせて拵える。鞘師は、鞘を作る時刀身が鞘の内側にに触れないよう宙ぶらりんになった状態にしているというのです。これは錆を防ぐための工夫と言われている。もし別の刀身を入れようとしたら全く入らないか、方々に当たってすぐに錆だらけになってしまうだろう。


刀身と鞘の関係で我々が刀身とすれば、ピッタリ合った鞘を特注した方がいいに決まってます。もし、どんな刀身も入るようなものだとしたら、中はユルユルにしなければいけないかもしれないし、自身の足より太くなり果ては鞘の役割を果たさないものになってしまうだろう。


そんなこんなで、コトバは悪いが市販の既製品は、ある特定の人にとってマウスピースとして役に立たない可能性もあります。大雑把にその役割は果たせたとしても違和感は拭えないだろう。



 William Tottle Mouthpiece は、試奏の最初では一瞬返品しようと真剣に考えたほどで・・・まともに音が出ませんでした。カスタム品ということでしたので、よくよく考えた末、気を取り直して何度も基本に立ち戻りながらやってみようと、アンブッシャーについての注意事項の一つ一つを注意深く実践しながら何度も試奏してみました。余程上手な方が使っていたものとみえて、行きつ戻りつの状態が続きました。実際こうしなければ全く鳴らなかった。


しばらく実践すると、なんとも恐ろしく鳴るマウスピースに変身(自分がか?)したのです。つまり刀身はマウスピースで我々は鞘だったということ。歩み寄りの精神でしょうか。全音域をカバーしタンギングも元の状態まで戻りました。メデタシ、メデタシです。ひょっとしてと思い直し、3M を使ってみるとあな不思議、以前より良い音になっています。


現状の課題で唇の振動する部分に問題があるので、これを払拭したいわけですが、これまでのマウスピースでは問題解決の進捗が見えづらかったのがこれで一気に進みそうです。というか、今のところメインのマウスピースとして使えるか探っていこうというところです。



結論:「アンブッシャーを教えてくれるマウスピース」はある、と確信した次第





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